現在主義とは
私は哲学の中で時間論が一番好きです。
私はよく過去の記憶が生き生きと現前するような感覚に陥り、酷く精神的に辛くなることがあります。
ただ、それが仮象(客観的実在性がないもの)である、ということを明晰に理解することができれば、そのような苦しみから解放されるのではないか、という希望(目的)があります。
つまり、哲学を自己治癒的な意味で使いたいと考えているのです。
過去のトラウマや、後悔、あるいは、誰かが酷い目にあったエピソードを聞いて苦しくなる時など、改めて時間論に立ち返ることで救いがあるような気がしています。
今回はその序章として、哲学の時間論における現在主義を、基本的なテーゼの確認に始まり、そのテーゼから帰結する矛盾を明らかにすることを目的として考えてみます。
早速、現在主義はどのようなテーゼの元に成り立つ思想なのかを一言で示します。
Only present things exist.
Presentism (Stanford Encyclopedia of Philosophy)
一言で言えば「現在のものだけが存在する」というテーゼが現在主義の核です。
とても単純でかつ常識的な考えのように見えます。
ただ、これは実際に私たちの身体的な体験に即した時に、こそまで確からしいと思えるテーゼなのでしょうか?